中心道 東京江戸川支部 介護塾 塾長・岩本好史について
子どもの頃から憧れ続け、追い求め続けてきたもの。
どうしたら手に入れられるのか。何をすれば、そこに到達できるのか。
そう思い続けてきた世界にアプローチするための鍵を、自分は既に手にしていたことに気付く。
中心道 介護塾 塾長 岩本好史は、中心道を通じて、まさにこの体験をした。
1982年1月3日、岩本は長崎で生を受けた。
岩本が4歳の頃、父親と別居。祖父母に面倒を見てもらうことが多かったという。
両親が別居したこともあり、家族同士のケンカが絶えない中で育った。
「どうして、家族みんなで仲良くできないのか」と憤り、「家族みんなで仲良く暮らせますように」と、毎日祈っていたという。
「どうしたら、みんなと仲良く、幸せに生きていけるのか?」幼少期の経験から、これが、岩本の人生において大きなテーマとなったのである。
そこから、岩本は「どうしたら人と仲良くできるのか」「どうしたら人と繋がれるのか」を模索し始める。
大学を卒業し、新卒で入社したのは着物販売の会社。岩本は「成績を上げて、仕事が上手くいけば、人と仲良くできる」と考え、仕事に没頭する。
結果、岩本は着物販売で好成績を収め、会社の優秀新人賞を受賞、早々に店長に就任するなどの活躍を見せる。
しかし、会社は数年後に倒産。岩本は「お金を稼げば、人と仲良くできるのではないか」と考え、ネットワークビジネスを手掛けてみたり、一緒に店を出そうという人に700万円出資するといったことをする。
しかし、いずれも失敗に終わる。
介護の仕事との出会い
そんなある日、親戚から「これからの時代は高齢化社会になる。介護ビジネスは成長が見込めるはず」という話を聞く。以前から独立起業を目指していた岩本は、さっそくヘルパーの資格を取得。老人ホームの職員として、介護業界に身を投じる。
着物販売で培った営業力もあってか、最初に入社した介護の業界でもグングン頭角を現し、とんとん拍子で施設長、そしてエリアマネージャーに昇進していく。
2014年には独立。待望の通所介護(デイサービス)を運営する会社を立ち上げた。売り上げは順調に伸びていき、順風満帆に進んでいく・・・かに見えた矢先。会社経営に暗雲が立ち込めていく。
スタッフから漏れ聞こえてくる、愚痴、不平、不満・・・。加えて、さまざまなトラブルが多発した。
「このままでは、ダメだ」。岩本は、そう思った。
生活費は稼げる。しかし、介護の仕事が好きかと問われると、正直なところそうでもない。会社を大きくすることにも、施設を増やすことにも、さほど興味も湧かないし、情熱も感じない。むしろ、どちらかと言えば面倒くさい・・・。
それが当時、岩本が持っていた偽らざる感想だった。
「介護事業はいずれ、良いタイミングで事業売却して、その後本当にやりたい仕事をすればいい」
岩本は、そう考えるようになっていた。
同志から言われた一言「仕事を、介護をナメている」。
それとちょうど同じ頃にあたる4年前、岩本は中心道を知り、「人間塾」を受講する。
そして岩本は、その人間塾の場で衝撃的な言葉を受け取ることになる。
「仕事をナメている。介護をナメている」
「スタッフや利用者さんに対する感謝も、配慮もない」
「デイサービスの事業を、自分の財布代わりくらいに考えている」
厳しい言葉の数々が刺さった。
そして、それを否定し切れない自分がいることにも、岩本は気付いていた。
さらに、岩本はこうも感じていた。
「この言葉が、今の自分には必要なものかもしれない」。
本気、そして本音で相手のことを想って、本当のことを伝える。それが、中心道。自分だけでは見えないこと、気付けないことを他人の目を通じて見るからこそ、見えることがあるのだ。
自問自答が続くある日、岩本はあることに気付く。
子どもの頃から願っていた世界。それは「全ての人が家族のようにつながり、支え合う世界」それは、介護の仕事を通じてこそ実現できるのではないか。
介護の仕事一つひとつは「作業」と捉えることもできる。「世話をしてあげる」という見方もできる。確かに、そういった側面もあるのかもしれない。しかし、それだけではない。
介護の本質とは「人々が最期の瞬間に向かうまでの一瞬一瞬を、共に過ごすこと」。
そこには、昔の肩書も、収入も関係がない。ただ、素の人と人とがいるだけ。利用者の方がこれまで積み重ねてきた年月、経験の数々に想いを馳せ、目の前の人と繋がっていく。その心地良さ、大切さ。
このことに気が付いた岩本は、どんどん介護の魅力にのめり込んでいく。
こんなエピソードがある。
岩本が運営するデイサービスに通う利用者の中に「どうしても体操をしたくない」というおじいちゃんがいた。車いすに乗って施設に通う彼は、スタッフがいくらなだめ、すかし、おだてても、頑として体操をしようとしなかった。
岩本は、そのおじいちゃんに尋ねた。「おじいちゃんは、何かしたいことはないんですか?」
すると、彼は言った。「高尾山に登りたい」。
岩本は答えた。「じゃあ、行きましょう」。
後日、二人は高尾山に向かった。岩本が車いすを押し、二人で高尾山に登った。もちろん、おじいちゃんは車いすのまま、である。
高尾山から帰ってきた日から、おじいちゃんは自ら進んで体操をするようになった。
誰が何を言おうと、絶対にやろうとしなかった体操を、である。
なぜか。「自分の足で立ち上がりたい。自分の足で、高尾山に登りたい」という、次の夢ができたからである。
岩本は言う。「介護は、単なる作業にもなる。でも、そこから深い学びを得ることもできる」。
何のために元気になるのか、何のために体操をするのか。それが見えたからこそ、おじいちゃんはずっと嫌がっていた体操を、自ら進んで取り組むようになったのだ。
いくら無理強いをしても、人は動かない。「何のために」を見せることで、人は動く。
一人ひとりの人生に、介護を通じて関わっていく。
それによって、岩本が目指す「全ての人が家族のようにつながり、支え合う世界」を実現していく。
中心道での学びを通じ、自分自身の内面と向き合ったことで、岩本の中で「介護」の概念が大きく変わったのである。
岩本の心中で「介護」の概念が変わった。それと同時に、その波動は施設全体、スタッフたちにも波及していく。施設の雰囲気が変わり、利用者に対するスタッフの対応も変わり、岩本とスタッフとの関係性も、大きく変化していった。
岩本は、自分自身と繋がることで、利用者様と繋がり、スタッフとも繋がり直すことができたのである。
「全ての人が家族のようにつながり、支え合う世界」を実現する。そして、介護は偉大な先輩たちと触れ合い、人生を学べる仕事であることを、より多くの介護従事者に知らしめる。
その結果、日本の介護業界を変えていく。
それこそ、岩本が、そして、中心道 介護塾が目指すことである。